ランニングテクニック
我々の勧める「Learn To Run」は、自然に「走る」「歩く」という本来人間が当たり前のように出来ているはずの事を、安全に当たり前に出来るようにお手伝いをすると言う、とてもシンプルな目的を持っています。
驚く事に、様々なスポーツの中で最もシンプルなスポーツであるマラソンが、一番スポーツ障害の確率が多いと言う報告が出ています。さらに、ランナーの37%~50%が何らかのランニング障害に悩まされており、それが原因でスポーツから遠ざかる事になってしまっています。
ランニング障害の主な原因はその「ランニング・フォーム」があげられます。一部の関節、筋肉に集中してストレスのかかるランニング・フォームで過度のトレーニングをすると、その小さなストレスが蓄積され、「炎症」や「痛み」という「オーバーユーズ」状態となって現れて来ます。それを「ランニング障害」といいます。
ランニング障害を減らし、生涯スポーツとして「マラソン」、「ハイキング」、「ウォーキング」を楽しむ為に、是非「ランニング・テクニック」を学んでください。
ランニングテクニック
正しいランニングフォームとして、様々な情報は書店や、インターネット上で見つける事が出来ますが、ここではとてもシンプルで実践しやすい方法で説明させて頂きます。
1:姿勢
- 膝と足関節(足首)は少し曲げた状態
- 少しだけ前方に重心を傾ける
- まっすぐ前を向く
- そこからゆっくりと前方に倒れるように前に進む
- 膝、つま先が前を向いている事を確認
- 腕が直線的に前後にふれている
- 頭部の上下動が最小限に抑えられている
2:足部の接地
- 体が自然に倒れるのを防ぐ様に片足を前に出す
- 足部は重心の真下に柔らかく接地する
- 接地したときも膝は少し屈曲している
- 踵からではなく、前足部か、足裏全体で接地する
- 足底部、足関節、膝関節全体で衝撃を吸収する
- 踵までしっかりと地面を掴み、その反動でトゥー・オフ
3:ピッチとストライド
- 早いピッチを心がける (180―190ステップ/ 分)
- 膝を高くあげ、歩幅を短く保つ
- 跳ねる動作を減らし、頭部の上下動を抑える
解説:
「体がまっすぐ伸び上がったままの状態」や、「前傾しすぎて腰が折れた状態」では効率の良いランニングは出来ません。「伸びきったままの上体」では、足部を体の前に出して踵で着地し、地面を引っ掛けるようにして前方への推進力を付けなければならないからです。踵で着地する場合、「膝は伸びた状態」になるため、前方への推進力とは反対のベクトルで「地面からの反発力」がかかり、大きなパワーロスに繋がり、また「ヒールストライク」を続ける事で関節、筋肉に過度のストレスがかかり、「ランニング障害」の原因になってしまいます。
その「ヒールストライク」を原因とした「ランニング障害」を予防する為に、「ベアフット・ランニング」という考え方が最近では言われるようになりました。これは、ハーバード大学の研究者、リーバーマン教授が発表した研究で、「人間は素足で走る時、ヒールストライクを避け、より自然でストレスの無い走り方をする。」という証明がなされた事が大きく影響しました。
しかしながら、「ベアフット・ランニング」を実践する事でまた新しい「ランニング障害」を引き起こす事も問題になって来ました。これは、まわりの環境や、本人の筋力、骨格アラインメント、ランニング・フォームが「自然な走り方」に対応出来なくなってしまっていたからです。
「環境」:
草原や土の大地、砂浜がアスファルトやコンクリートになってしまい、素足で走れるような環境を探す事はほとんど出来なくなってしまいました。
「筋力」:
ヒールストライクをしても踵のクッションで衝撃を吸収するような走りをする場合、衝撃を和らげる為に必要なふくらはぎの筋力や、腿の筋力が弱ってしまいます。
「骨格」:
足底部の形は先端の細くなった靴を履く事で窄まり、安定感が無くなり、また衝撃吸収したり、反動運動をする機能を持つ「アーチ」が無くなってしまい、骨格機能としての衝撃吸収能力が失われてしまいました。
「ランニング・フォーム」:
アウトソールの踵部分がつま先部分に比べて2倍高くなり、全体のクッション性が豊富な靴を履く事で、強いヒールストライクを伴う「広いストライド」が可能になりました。それにより多くの解剖学的機能が失われてしまいました。さらに「ヒールストライク」を原因とする「プロネーション」や衝撃が与える影響で起こる「筋」「関節」の炎症が増えるようになりました 。